シソ・大葉について

シソ・大葉とは

日本を代表するハーブの1つと言われているシソ。
健康効果が見直されています。

薬味や刺身のつまなどによく使われるシソは、日本を代表するハーブです。赤紫蘇は梅干など漬物の色味としても利用されているほか、福神漬や七味唐辛子などにも配合されています。和食の他、パスタに入れたりフライに使われたりと、洋食にもよく合います。シソのニンニク醤油漬けを「合法ハーブSHISO」と呼び、その美味しくてやみつきになると、ネット上で話題になりました。シソはシソ科シソ属の植物で、植物分類上エゴマとは同種の変種という非常に近い関係です。シソの種類は基本品種の縮緬紫蘇(チリメンジソ)や、代表的な品種とされる赤紫蘇(アカジソ)、大葉(オオバ)とも呼ばれる青紫蘇(アオジソ)などがあります。食用としては一般的に青紫蘇と赤紫蘇が利用されており、葉部以外にもシソの実・若い芽である芽じそ(紫芽・青芽)や穂部分なども利用します。シソはアジアに広く分布していますが、アジアでもシソ系統を好む地域、エゴマ系統を好む地域があるようです。

青ジソの成分
ペリルアルデヒド 「シスアルデヒド」とも呼ばれ、シソの香り成分です。強力で優れた抗菌作用や防腐作用があり、食中毒やシソ自身の鮮度維持の効果、消化酵素の分泌を促し食欲を増進させるため、胃の調子を整える作用もあります。シソの香りには、鎮静作用(リラックスさせる効果)があります。
β-カロテン 緑黄色野菜や果物に多く含まれる色素です。体の生理機能に対して潤滑油としての働きをし、視覚の光調節・色調感覚への作用・聴覚や皮膚粘を保護し抵抗力を高め、正常に保つ働きがあります。抗酸化作用にも優れ、老化防止制ガン作用などのはたらきが期待できます。青じそはβ-カロテンを多く含み、にんじんのおよそ1.34倍、ほうれん草のおよそ2.6倍も含まれています。
α-リノレン酸 植物油脂に多く含まれる人の体内で合成されないため、食品から摂取しなければならない必修脂肪酸です。α-リノレン酸は体内でEPAやDHAに代謝されるので、これらの機能も持ち併せ、アトピー性皮膚炎やアレルギー性疾患、花粉症、喘息の改善や高血圧予防、脳細胞の活性化といった作用も報告されています。
ルテオリン ルテオリンはフラボノイドの中でも、最も強力な抗アレルギー作用や抗炎症作用があります。花粉症の鼻づまり、アトピー性皮膚炎に対して、ステロイドと同等の抑制効果があるとも言われています。春菊やセロリ、ピーマンなどに含まれるルテオリンは吸収されにくい形で存在し、青じそに含まれるルテオリンは、吸収されやすく作用しやすいのが特徴です。
ビタミンB2 水溶性のビタミンで、主に皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きをし、体に糖質、脂質、タンパク質の各栄養素の代謝に関わります。不足すると発育・成長が阻害されるほか、口の端が切れる口角炎、口内炎、舌炎(ぜつえん)などのように、皮膚や粘膜に炎症がおこりやすくなります。
ロズマリン酸 青ジソにはポリフェノールの一種である、ロズマリン酸が豊富に含まれています。ロズマリン酸は血中にブドウ糖があふれ血糖値が上昇するのを防ぎ、使われないブドウ糖が中性脂肪として貯えられるのを防ぎます。ロズマリン酸は炭水化物に即効的に働くので、毎回の食事の前に摂取すれば低インシュリンダイエットと同じ効果が期待できます。
ビタミンC 病気などいろいろなストレスへの抵抗力を強める働きのほか、ホルモンをつくったり、鉄の吸収をよくしたり、シミやソバカスの原因(メラニン色素)を抑えたりする水溶性のビタミンです。不足すると寒さや細菌に対する抵抗力が下がって、風邪などの病気にかかりやすくなったり、また、骨や歯の発育が不十分になったりします。
ビタミンk 私たちの体は食べ物から摂取するビタミンkと、体内の腸内細菌が合成したビタミンKの両方を利用しています。ビタミンkは通常、出血時に血液を固めて止血するようなはたらきをします。また、骨の健康維持に不可欠で、骨にあるタンパク質を活性化し、骨の形成を促すことから、骨粗しょう症の治療薬としても認めらています。ビタミンkは緑黄色野菜にもたくさん含まれます。
カルシウム カルシウムは、骨や歯などをつくっている栄養素です。99%は骨と歯に、残りの1%が血液などの体液や筋肉などの組織にあります。この1%のカルシウムが、出血を止めたり、神経のはたらきや筋肉運動など、生命の維持や活動に重要な役割を果たします。食べたカルシウムは小腸から吸収されて血中に入り、すぐに使う分だけ残してあとは骨に貯えられます(骨の形成)。
カリウム カリウムには、ナトリウムとのバランスにより細胞を正常に保ったり、血圧を調整したりするはたらきがあります。主に食塩から摂取するナトリウムは、とり過ぎると高血圧の一因になりますが、その一方でカリウムは血圧を下げる働きがあります。体の中のカリウムは、食塩やアルコールの摂取によって排泄量が増えることも知られています。
体の中の鉄は、そのほとんどが血液中の赤血球をつくっているヘモグロビンという成分になっています。このヘモグロビンは、呼吸でとり込んだ酸素と結びつき、酸素を肺から体のすみずみまで運ぶという重要な働きをしています。鉄が不足すると、赤血球をつくる材料がないため鉄欠乏症の貧血になる恐れがあります。
マグネシウム マグネシウムは、骨などの発育・形成のために、カルシウムとともに必要なミネラルです。マグネシウムは50%~65%は骨に含まれています。マグネシウムは神経の興奮を抑えたり、エネルギーをつくる助けや血圧の維持にもかかわっています。
食物繊維 人の消化酵素では消化することができない食べ物の中の成分です。食物繊維には、水に溶ける水溶性食物繊維と、水には溶けない不溶性食物繊維があります。食物繊維は、便の量を増やして便秘を防いだり、最近では動脈硬化症、大腸がんなどの、生活習慣病の予防にも役立つことがわかってきています。青じそには、ゴボウのおよそ1.5倍の食物繊維が含まれています。

 

紫蘇(シソ)の歴史

シソは日本最古のハーブの1つ
中国では古くから薬用として利用されていました。

中国南部近辺がシソの原産地ではないかと言われています。中国では古くから薬用として利用されていたと考えられ、紫蘇という名前は後漢末(西暦200年頃)に活躍した、曹操の典医としても知られる伝説的名医「華佗」に由来すると言われています。中国の故事では華佗が蟹を食べ過ぎ食中毒で死にかけた若者に、薬草を煎じた紫色の汁を飲ませ治療したという話があります。「紫」色をしたの「蘇る」薬草ということで、紫蘇と呼ばれるようになったと伝えられています。現在でもシソの葉は生薬「蘇葉(そよう)」として漢方薬に配合されています。

日本でも縄文時代の遺跡からシソの種子が出土しており、かなり古い時代に渡来していたと考えられています。古くから自生し人々に利用されていたと考えられることから、シソは日本最古のハーブの1つであるとも言われています。平安時代には栽培も行われており、“延喜式”や“本草和名”などの書物にも記載が見られます。

平安期には、シソは薬草・生薬としても重宝されていたと考えられますし、漬物などにも利用していたようです。
エゴマの仲間であるシソは油が採れる植物でもあります。中世末期頃、菜種油が普及するまではエゴマ油と並びシソ油も灯火用の油として利用されていました。シソ油は「α-リノレン酸を含む油」として健康食品として再び注目されています。

 

効果効能

紫蘇(シソ)/大葉の主な栄養・期待される効果

シソは100gあたりの栄養価で見るとビタミン・ミネラル・ポリフェノール・食物繊維など、幅広い成分を豊富に含んでいます。カロリーは100gあたり37kcal(1束10枚程度であれば4kcal)です。
シソは花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状緩和、アンチエイジング、ダイエット、美肌など様々な面で注目を集めています。赤紫蘇は薬効成分が多くアレルギー抑制・抗酸化作用などに優れている青紫蘇はβ-カロテンなど栄養含有量が多いと言われています。

抗酸化・生活習慣病予防

シソはポリフェノール(ロズマリン酸、ルテオリン、アントシアニン系色素のシソニンなど)や、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテンなど抗酸化作用を持つ成分を豊富に含んでいます。これらの成分からに高い抗酸化作用が期待できることから、シソはアンチエイジングハーブの1つとしても注目されています。高い抗酸化作用や多様なポリフェノールから、がん予防に対する研究も行われています。
加えて紫蘇はオメガ3(n-3系)脂肪酸の「α-リノレン酸」も含んでいます。α-リノレン酸は体内でEPAに変化して悪玉コレステロールや中性脂肪の減少に役立つことから、血液をサラサラにする働きが期待され、抗酸化作用と相乗して生活習慣病予防に有効とされています。

花粉症などのアレルギー症状軽減

シソにはアレルギー誘発物質(ロイコトリエン)の生成に関わる酵素を阻害しアレルギー症状を抑制する「ルテオリン」免疫システムの過剰な作用を抑える「ロズマリン酸」が含まれています。ルテオリンはフラボノイドの中で最も強い抗アレルギー・抗炎症作用を持つと言われていますし、ロズマリン酸は天然ステロイドとして副作用が指摘されるステロイド剤に変わるアレルギー軽減物質として注目されている成分です。加えてオメガ3(n-3系)脂肪酸である「α-リノレン酸」もシソには含まれていますから、マヨネーズや家庭用植物油に多く含まれるリノール酸などオメガ6系脂肪酸過多によるアレルギー反応を抑制し、免疫機能の正常化にも効果が期待されています。
また免疫細胞が過剰に反応することで活性酸素を産生してしまい、その活性酸素で免疫機能や正常な細胞を傷つけることでアレルギーを悪化させると考えられています。活性酸素が脂肪と結合して生成される過酸化脂質は、角質層の保湿機能を奪いアトピーを悪化させる原因となるとする説もあります。シソの持つ抗酸化作用がこの悪循環を改善し、ルテオリン・ロズマリン酸・α-リノレン酸の働きと複合することでアレルギー反応による炎症の予防・改善を助けていると考えられています。

青ジソの期待できる効果一覧

○ 血液サラサラ作用による、生活習慣病の予防や疲労回復など。
○ 血液降下作用による、高血圧の改善。
○ 血糖値降下作用による、高血糖・糖尿病の改善。
○ 中性脂肪抑制作用による、ダイエットの効果。
○ 抗アレルギー作用や抗炎症作用による、アレルギー性疾患の改善や、特に鼻づまりや鼻水・目のかゆみなどの花粉症の改善。
○ 抗酸化作用による、制がん作用。
○ 整腸作用による、便通の改善。
○ 鎮静作用による、イライラやストレスの緩和。
○ 抗酸化作用や細胞の老化防止作用による、肌の若返り。
○ 健胃作用による、胃の機能回復。

©  agriplus All Rights Reserved.
PAGE TOP